「慶」の旧字とは?この漢字には異体字も含めなにも存在しないようだ

2024年10月30日

「慶(けい)」は、日本語において「祝う」「喜ぶ」という明るく縁起の良い意味を持つ漢字です。
結婚式やお祝いの席、贈り物に添えられることも多く、日常の中でも幸せな瞬間を彩る存在として親しまれています。
しかし、この漢字には意外な一面があることをご存知でしょうか?
漢字の多くには、時代と共に異なる字体が生まれ、旧字や異体字として形を変えてきました。
しかし、「慶」という漢字に関しては、どうやら、旧字や異体字といったバリエーションがほとんど見られないようです。
本記事では「慶」という漢字について、旧字や異体字が存在しないのかを明確にし、その由来や似た漢字などを紹介していきます。
どうか、ご一緒に、その結果をご確認ください。

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「慶」の旧字とは?

さて、「慶」の旧字は何なのかということに応えますね。

「慶」という漢字には、旧字を含め、異体字は存在しません!

「上級漢和辞典 漢字源」を見る限り、「慶」という漢字には、旧字も異体字も載っていないんですよ!
ちょっと、驚きました。

実は、「慶應大学」のイメージがあって「應」の字を「慶」の旧字のイメージを持っていたからです^^;
「應」は「応」の旧字ですよね!

そこで、この漢字に、旧字、異体字がないかネットを巡ってみました!

下記のサイトを確認したところ、漢字源と同じく、旧字、異体字は載っていません!

ただ、少数派ですが、いくつかのサイトでは、異体字、簡略字が載っているモノがありました。

異体字のあるサイトについて

次のサイトでは、「慶」の異体字が紹介されていました。

異体字紹介サイト
庆(5E86)、広慶|ウィクショナリー日本語版
𢙎(2264E)𢝑(22751)庆慶の意味と読み方|漢字辞典
漢字「慶」について|漢字辞典ONLINE

紹介された異体字について少し確認しました。

「庆」は、「白水社 中国語辞典」を見ると、意味が「祝う,慶祝する,祝賀する」で「慶」と同じですね。
漢字源には載っていないです。
IMEパッドの手書きで探しても、該当する漢字は出てきませんでした。
これ、文字変換で出すのは難しいです。Unicodeは、上記にあるように「5E86」ですね。

「広」が載っていますが、どうも間違いっぽいですね。
yahoo!知恵袋に下記の答えが出てます!

「慶」は「廣・広」の異体字ではありません。

fonさん|yahoo!知恵袋

当然、漢字源にも載っていません!

「𢙎」ですが、中国語の辞典には載っていますが、意味の載っているサイトが見つかりません。
この漢字も、漢字源に載っていませんし、IMEパッドの手書きでも、該当する漢字は出てきません。
Unicode「2264E」で出せます。

最後の「𢝑」ですが、上記と同様、中国語の辞典には載っているようですが、意味が載っているサイトが探せませんでした。
この漢字も、漢字源には載っていませんし、IMEパッドの手書きでも該当の漢字は出ませんね。
Unicode「22751」で出すことは出せます。

※「慶」が名前に良くないという噂を聞いて見解を述べてみました。
「慶」名前に良くない


「慶」に似ている漢字

「慶」の旧字、異体字がないことが分かりました。
さて、この章では、「慶」に似ている漢字について、60爺が勝手にピックアップした内容を見ていただきます。

漢字画数音読み訓読み言葉
17オウこた・える慶應
16シュおおじか麈尾
14ジンちり粉塵、微塵
16センすす・める推薦、自薦
13タイ解廌
15ユウうれえ・る憂愁、憂慮
19レイうるわ・しい秀麗、麗人
19ロクふもと山麓

まずは、「應」です。
余り見かけない漢字ですが、実は、既に述べましたが「応」の旧字なんです。
ただ、この漢字が使われている言葉って、「慶應大学」位しか思い浮かばんです。

次は、「麈」です。上半分が「慶」に似ています。
「鹿」+「王」で構成される漢字で、その読みも「おおじか」です。
この漢字も、見かけるようで、ほぼ日常生活ではお目にかからないでしょう。

言葉の中にある「麈尾(シュビ)」は、大鹿の尾の毛を挟木にはさんで団扇形に切り揃え、柄を取り付けた仏具ですね。払子(ほっす)ともいいます。

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Hozan Alan Senauke., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

「塵」も、上記の「麈」で、上半分が「慶」に似ていると思います。

この漢字は、鹿と土で構成され、鹿の群れが走り去ったあとに土ぼこりが立つことを示しています。
下にたまる小さい土の粉、即ち、「ちり」を指すんですね。

これは、音読みで「ジン」と読むので、上記の粉塵(フンジン)、微塵(ミジン)、訓読みの「ちり」で「塵芥(ちりあくた)」なんて言葉もあるんです。

「薦」は、草冠を取れば、上部が「慶」に似ている漢字です。

「艸(くさ)+廌(伝説上の動物の名)」の会意文字です。

聖獣が食べる草の意から転じて、この草をきちんと揃えて聖獣にお供えし、すすめる意となりました。
また、草をそろえて供える形から敷物・こもの意ともなります。

※「薦める」と書いて「すすめる」と読めますが、これで記事をアップしています。
薦める薦めるの違い

「廌」は、上記「薦」も、草冠がない分、より「慶」に似ていますね。
この漢字は、鹿と馬の一部分を兼ねた象形文字です。

上述のように「伝説上の動物の名で、鹿に似て角は1本、足は馬に似ている」を表します。
この「廌」、悪者に触れてその非を正す性質があると信じられていたそうです。

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No machine-readable author provided. Spetsedisa assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

言葉にある「解廌」は古代中国では法律を執行する役人が被った帽子(法冠)を指します。

「憂」は、「まだれ」はありませんが、下半分が「慶」に似ていませんか。

この漢字は、他にも、「憂鬱」や「杞憂」など、心配事があると出てきますので、皆さん、割と目にしていらっしゃるのではないかと思います。

「麗」も、見た目が「慶」に似ています。

この漢字は華やかなイメージがあり、「華麗」「眉目秀麗(びもくしゅうれい)」「容姿端麗(ようしたんれい)」など、容姿が優れている言葉がたくさんありますよね。

「麓」の漢字も、上記と同様、見た目が「慶」に似ていますね。
見てお分かりのように、「林」と「鹿」で構成されています。

「鹿」は「点々と連なる」という意味があり、そこから、「麓」は、木々が点々と並び連なる所から、「山のふもと」となったわけです。

最後に

「慶」に旧字があるのか確認しました。
この漢字には、旧字だけでなく、異体字も含めなにも存在しないことがわかりました。
いくつかのサイトでは、「𢙎」「𢝑」「庆」が紹介されていましたが、どうやら中国の漢字であるようです。「広」まで出ていたのは驚きでしたが、どうやら、明らかな誤りでした。
最後に、60爺が勝手に選んだ「慶」に似ている漢字を8つ見ていただきました。

※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

漢字の旧字

Posted by 60爺