「慶」の旧字とは?この漢字には異体字も含めなにも存在しないようだ
「慶(けい)」は、日本語において「祝う」「喜ぶ」という明るく縁起の良い意味を持つ漢字です。
結婚式やお祝いの席、贈り物に添えられることも多く、日常の中でも幸せな瞬間を彩る存在として親しまれています。
しかし、この漢字には意外な一面があることをご存知でしょうか?
漢字の多くには、時代と共に異なる字体が生まれ、旧字や異体字として形を変えてきました。
しかし、「慶」という漢字に関しては、どうやら、旧字や異体字といったバリエーションがほとんど見られないようです。
本記事では「慶」という漢字について、旧字や異体字が存在しないのかを明確にし、その由来や似た漢字などを紹介していきます。
どうか、ご一緒に、その結果をご確認ください。
「慶」の旧字とは?
さて、「慶」の旧字は何なのかということに応えますね。
「慶」という漢字には、旧字を含め、異体字は存在しません!
「上級漢和辞典 漢字源」を見る限り、「慶」という漢字には、旧字も異体字も載っていないんですよ!
ちょっと、驚きました。
実は、「慶應大学」のイメージがあって「應」の字を「慶」の旧字のイメージを持っていたからです^^;
「應」は「応」の旧字ですよね!
そこで、この漢字に、旧字、異体字がないかネットを巡ってみました!
下記のサイトを確認したところ、漢字源と同じく、旧字、異体字は載っていません!
- 新漢字・旧漢字対照表
- 新・旧字対照表|立教大学
- 異体字リスト| 東文研総合検索
- 旧常用漢字一覧[新旧字体]|常用漢字チェッカー
- 間違えやすい旧字・外字・異体字について|表札ストア
- 異体字検索漢字リスト|厚生労働省
- 慶|漢字ペディア
- 慶 とは?|goo辞書
- 慶|モジナビ
- 慶|OK辞典
ただ、少数派ですが、いくつかのサイトでは、異体字、簡略字が載っているモノがありました。
異体字のあるサイトについて
次のサイトでは、「慶」の異体字が紹介されていました。
異体字 | 紹介サイト |
---|---|
庆(5E86)、広 | 慶|ウィクショナリー日本語版 |
𢙎(2264E)𢝑(22751)庆 | 慶の意味と読み方|漢字辞典 |
庆 | 漢字「慶」について|漢字辞典ONLINE |
紹介された異体字について少し確認しました。
「庆」は、「白水社 中国語辞典」を見ると、意味が「祝う,慶祝する,祝賀する」で「慶」と同じですね。
漢字源には載っていないです。
IMEパッドの手書きで探しても、該当する漢字は出てきませんでした。
これ、文字変換で出すのは難しいです。Unicodeは、上記にあるように「5E86」ですね。
「広」が載っていますが、どうも間違いっぽいですね。
yahoo!知恵袋に下記の答えが出てます!
「慶」は「廣・広」の異体字ではありません。
fonさん|yahoo!知恵袋
当然、漢字源にも載っていません!
「𢙎」ですが、中国語の辞典には載っていますが、意味の載っているサイトが見つかりません。
この漢字も、漢字源に載っていませんし、IMEパッドの手書きでも、該当する漢字は出てきません。
Unicode「2264E」で出せます。
最後の「𢝑」ですが、上記と同様、中国語の辞典には載っているようですが、意味が載っているサイトが探せませんでした。
この漢字も、漢字源には載っていませんし、IMEパッドの手書きでも該当の漢字は出ませんね。
Unicode「22751」で出すことは出せます。
※「慶」が名前に良くないという噂を聞いて見解を述べてみました。
⇒ 「慶」名前に良くない
「慶」に似ている漢字
「慶」の旧字、異体字がないことが分かりました。
さて、この章では、「慶」に似ている漢字について、60爺が勝手にピックアップした内容を見ていただきます。
漢字 | 画数 | 音読み | 訓読み | 言葉 |
---|---|---|---|---|
應 | 17 | オウ | こた・える | 慶應 |
麈 | 16 | シュ | おおじか | 麈尾 |
塵 | 14 | ジン | ちり | 粉塵、微塵 |
薦 | 16 | セン | すす・める | 推薦、自薦 |
廌 | 13 | タイ | - | 解廌 |
憂 | 15 | ユウ | うれえ・る | 憂愁、憂慮 |
麗 | 19 | レイ | うるわ・しい | 秀麗、麗人 |
麓 | 19 | ロク | ふもと | 山麓 |
應
まずは、「應」です。
余り見かけない漢字ですが、実は、既に述べましたが「応」の旧字なんです。
ただ、この漢字が使われている言葉って、「慶應大学」位しか思い浮かばんです。
麈
次は、「麈」です。上半分が「慶」に似ています。
「鹿」+「王」で構成される漢字で、その読みも「おおじか」です。
この漢字も、見かけるようで、ほぼ日常生活ではお目にかからないでしょう。
言葉の中にある「麈尾(シュビ)」は、大鹿の尾の毛を挟木にはさんで団扇形に切り揃え、柄を取り付けた仏具ですね。払子(ほっす)ともいいます。
Hozan Alan Senauke., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
塵
「塵」も、上記の「麈」で、上半分が「慶」に似ていると思います。
この漢字は、鹿と土で構成され、鹿の群れが走り去ったあとに土ぼこりが立つことを示しています。
下にたまる小さい土の粉、即ち、「ちり」を指すんですね。
これは、音読みで「ジン」と読むので、上記の粉塵(フンジン)、微塵(ミジン)、訓読みの「ちり」で「塵芥(ちりあくた)」なんて言葉もあるんです。
薦
「薦」は、草冠を取れば、上部が「慶」に似ている漢字です。
「艸(くさ)+廌(伝説上の動物の名)」の会意文字です。
聖獣が食べる草の意から転じて、この草をきちんと揃えて聖獣にお供えし、すすめる意となりました。
また、草をそろえて供える形から敷物・こもの意ともなります。
※「薦める」と書いて「すすめる」と読めますが、これで記事をアップしています。
⇒ 薦める薦めるの違い
廌
「廌」は、上記「薦」も、草冠がない分、より「慶」に似ていますね。
この漢字は、鹿と馬の一部分を兼ねた象形文字です。
上述のように「伝説上の動物の名で、鹿に似て角は1本、足は馬に似ている」を表します。
この「廌」、悪者に触れてその非を正す性質があると信じられていたそうです。
No machine-readable author provided. Spetsedisa assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons
言葉にある「解廌」は古代中国では法律を執行する役人が被った帽子(法冠)を指します。
憂
「憂」は、「まだれ」はありませんが、下半分が「慶」に似ていませんか。
この漢字は、他にも、「憂鬱」や「杞憂」など、心配事があると出てきますので、皆さん、割と目にしていらっしゃるのではないかと思います。
麗
「麗」も、見た目が「慶」に似ています。
この漢字は華やかなイメージがあり、「華麗」「眉目秀麗(びもくしゅうれい)」「容姿端麗(ようしたんれい)」など、容姿が優れている言葉がたくさんありますよね。
麓
「麓」の漢字も、上記と同様、見た目が「慶」に似ていますね。
見てお分かりのように、「林」と「鹿」で構成されています。
「鹿」は「点々と連なる」という意味があり、そこから、「麓」は、木々が点々と並び連なる所から、「山のふもと」となったわけです。
最後に
「慶」に旧字があるのか確認しました。
この漢字には、旧字だけでなく、異体字も含めなにも存在しないことがわかりました。
いくつかのサイトでは、「𢙎」「𢝑」「庆」が紹介されていましたが、どうやら中国の漢字であるようです。「広」まで出ていたのは驚きでしたが、どうやら、明らかな誤りでした。
最後に、60爺が勝手に選んだ「慶」に似ている漢字を8つ見ていただきました。
※思えば、「漢字の旧字」の記事も増えてきたようです。
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