ゴリラを漢字で書ける?昔からある空想の動物から得た表記をご紹介
ゴリラと聞くと、多くの人は動物園や自然番組で目にするその力強くも温和な姿を思い浮かべるでしょう。
しかし、「ゴリラ」という名前を漢字で表記できるかと聞かれると、答えられる人は少ないかもしれません。
実は、ゴリラには古くから伝わる特別な漢字表記が存在します。
その表記は単なる文字以上に、動物と人間の関係や文化的な背景を映し出すものでもあります。
この記事では、ゴリラを漢字で表記する方法やその由来について掘り下げていきます。
また、この表記がどのように誕生し、普及していったのか、その歴史にも触れながら紹介します。
漢字が持つ奥深さと、ゴリラという動物の新たな魅力を知る旅に、一緒に出かけてみませんか?
ゴリラの漢字表記とは?
ゴリラに漢字表記はあるのでしょうか?
ゴリラの漢字表記とは
国語辞典(広辞苑、三省堂国語辞典第五版)をみても、ゴリラに当たる漢字は見つかりませんね。
ただ、ゴリラには「大猩猩(おおしょうじょう)」という別名があります。
この表記は、日本語の中でゴリラを表す表現として知られているようです。広辞苑の意味の一番最後にも出ています。
動物の名前に漢字を当てるのは、古くからの文化であり、特に明治以降に多くの外来生物が日本に紹介された際、漢字を用いて表記されることが一般的でした。
ゴリラもその一例として、「大猩猩」という漢字が当てられたのです。
ご覧のように、「ゴリラ」に対する漢字表記はないようです。
「大猩猩」は、上述の通り別名ですね。
↑「大猩猩」は、「おおしょうじょう」で「ゴリラ」とは読みません!
ただ、サイトを眺めていたら、ゴリラの表記を出しているモノもありますので、まずは、そちらを紹介しましょう。
ゴリラの他の表記
漢字表記にはさまざまな案が考えられることがありますが、「大猩猩」が定着する以前には別の表記が用いられることもありました。
例えば、「巨猿」や「大猿人」といった表記が一部で使われていたこともあるようます。
サイトを探しましたが見つからなかったですけど。
ただし、これらは公式なものではなく、研究者や文献ごとに異なっていました。
最終的に「大猩猩」が最も広く受け入れられ、現在に至っているようです。
その他に、ふりがな文庫と言う「文学作品などのふりがなを対象」としているサイトの中に、ゴリラが見つかりました。
- 猛狒 33.3%
- 類人猿 33.3%
- 大猩々 33.3%
3番目に上記の「大猩々」が出ましたね。
実際に、文学作品の例が出ていましたので、それを転載します。
私はハツト思つて一時は遁出さうとしたが、今更遁げたとて何の甲斐があらう、もう絶體絶命と覺悟した時、猛狒はすでに目前に切迫した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05/押川春浪(著)|ふりがな文庫
日記中のいくつかの文章であった……父は類人猿の研究さえ完成すればそれでいいと思っているのであろうか……そして……
世の中で令嬢エミーラの日記/橘外男(著) |ふりがな文庫
不意に私達の面前へ大猩々が姿を現わした時には恐怖のために足を止めた。しかし危険はちっともない。
沙漠の古都 (新字新仮名) /国枝史郎(著) |ふりがな文庫
ご覧のように、赤字にした表現を、れぞれ「ゴリラ」と読んでいます。
ちなみに、いくつかのサイトで、トップの「猛狒」を「ゴリラ」として紹介していますが、上述したように、国語辞典にはありませんし、漢字源で「狒」をみても、「猛狒」という語は載っておりません。
また、「狒狒(ヒヒ)」は妖怪と言っている方もおりますが、ヒヒ属(マントヒヒ、ゲラダヒヒ、マンドリル)の総称の誤りかと思われます。
ちなみに、日本では「好色の男性」を言う言葉で「あのヒヒじじいが……」なんて言い方をされます。
※ゴリラについては、正式名称に迫った次の記事もあります。
ゴリラの正式名称を知っていますか?ゴリラゴリラゴリラの謎に迫る
ゴリラと「猩猩」の関係性
ゴリラの漢字表記「大猩猩(おおしょうじょう)」には、「猩猩(しょうじょう)」という言葉が含まれています。
この「猩猩」という表現の意味には2つの意があります。
- 日本や中国で知られていた架空の生き物
- オランウータン
そのため、ゴリラと「猩猩」には直接的な関係はありませんが、これらの意味から、なぜゴリラに結びつけられたのかを探ってみましょう。
日本や中国で知られていた架空の生き物
「猩猩」は、中国や日本の古代伝承に登場する想像上の生物です。
赤みを帯びた顔や毛並みを持ち、酒を好む陽気な性格として描かれることが多いのが特徴です。
中国の古典文学や日本の能楽などにも「猩猩」の登場が確認されており、古くから親しまれてきた存在です。
また、「猩猩」は人間に似た姿や振る舞いを持つとされており、これが後にゴリラのイメージと重なった要因の一つと考えられます。
ゴリラが西洋から日本に紹介された際、その巨大な体と類人猿特有の人間らしい動作が「猩猩」のイメージに合致すると考えられました。
当時の人々にとって、ゴリラは未知の存在であり、その特徴を表現するために既存の言葉や文化的なイメージが活用されたのです。
「猩猩」が持つ赤みがかった毛並みや、酒好きの陽気な性格という伝承上の特徴は、ゴリラの実際の性質とは異なりますが、見た目や雰囲気に着目して「猩猩」が選ばれたとされています。
ゴリラに「猩猩」の漢字が使われることで、ゴリラは単なる動物以上の文化的存在となりました。
たとえば、文学や絵画でゴリラが取り上げられる際、この漢字表記を用いることで、人間とのつながりや物語性がより強調されるようになりました。
また、「猩猩」のイメージがもたらす神秘性や親しみやすさが、ゴリラに対する興味を深める一助となっています。
オランウータン
こちらは実在する動物の名称です。
オランウータンは、ボルネオ、スマトラの森林に生息し、「森の人」の意味があります。
その背景には、中国における動物学や自然観の発展が関係しています。
「猩猩」という語が、現実の大きな類人猿に使われるようになったのは、伝説の生物と現実の動物を重ね合わせる思考があったためです。
特に、体が大きく、力強く、どこか人間に似た特徴を持つゴリラが「大猩猩」と表現されるようになり、この表記は漢字文化圏で広く普及しました。
海外ではどんな名前
世界の言葉では、「ゴリラ」を何と言うか調べてみました。
外国語 | スペル | 発音 |
---|---|---|
英語 | gorilla | ゴリラ |
ドイツ語 | Gorilla | ゴリラ |
オランダ語 | gorilla | ゴリラ |
フランス語 | gorille | ゴリン |
イタリア語 | gorilla | ゴリラ |
スペイン語 | gorila | ゴリラ |
ポルトガル語 | gorila | ゴリラ |
スウェーデン語 | gorilla | ゴリラ |
ノルウェー語 | gorilla | ゴリラ |
中国語(繁体) | 大猩猩 | ダーフンフン |
中国語(簡体) | 大猩猩 | ダーフンフン |
ロシア語 | горилла | ゴリラ |
西洋語のほぼ全ての発音が、イントネーションは別として「ゴリラ」と聞こえました。違うのはフランス語だけでしたね。
スペルも「gorilla」(英語、ドイツ語、オランダ語、イタリア語、スウェーデン語、ノルウェー語)が大多数で、「gorila」(スペイン語、ポルトガル語)、「gorille」(フランス語)と似通ってます。
中国語は、繁体と簡体で表記も発音も同じで、日本語のゴリラの別名である「大猩猩」でした。
ロシア語も、スペルは独自ですが、発音は「ゴリラ」です。
最後に
「ゴリラを漢字で書ける?昔からある空想の動物から得た表記をご紹介」の記事では、ゴリラの漢字表記について詳しく紹介しました。
ゴリラは通常カタカナで書かれますが、漢字では「大猩猩」と表現されることがあります。
この表記は古代中国の伝説に登場する「猩猩」という猿に由来し、空想上の動物とされていました。
現代では「猩猩」の漢字はオランウータンに転用されることが多く、学術的な文脈や漢字文化圏で目にすることができます。
記事ではこの表記の背景や文化的な意味も掘り下げ、ゴリラと漢字の意外な関係性を楽しめる内容となっています。
※気づけば動物の漢字の記事も増えてきました
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