バハモンドオウギハクジラとは?皆の知らない鯨の情報を集めてみた

2025年2月7日

鯨といえば、シロナガスクジラやマッコウクジラが有名ですが、「バハモンドオウギハクジラ」という名前を聞いたことがあるでしょうか?
この鯨は、非常に珍しく、世界でもその存在がほとんど知られていない幻のクジラです。

オウギハクジラ属に分類されるこのクジラは、その生態の多くが謎に包まれています。

発見のきっかけは、南米チリの沖合に漂着した個体のDNA分析で、既存のどのオウギハクジラとも異なる特徴を持つことが判明しました。

本記事では、このバハモンドオウギハクジラについて、名前の由来や発見の経緯、特徴、さらには現在わかっている生態に至るまで詳しく掘り下げていきます。

あなたも、まだ誰も詳しく知らない新種のクジラについて学んでみませんか?

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バハモンドオウギハクジラとは?

バハモンドオウギハクジラ(学名:Mesoplodon traversii)は、ハクジラ亜目アカボウクジラ科オウギハクジラ属に属する小型のクジラです。

Mesoplodon traversii
GYassineMrabetTalk✉  This W3C-unspecified vector image was created with Inkscape ., CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

このクジラは、おそらく世界中のクジラの中で最も知られていないという特徴を持っています。
過去には、2つの頭蓋骨と1つの顎骨からなる骨格残骸のみが得られています。

つまり、バハモンドオウギハクジラは、野生では一度も目撃されたことがないのです。

過去の人間とバハモンドオウギハクジラの接点は次の通りです。

  • 1872年:ニュージーランド「ピット島」
  • 1950年:ニュージーランド「ホワイト島」
  • 1986年:チリ「ロビンソン・クルーソー島」
  • 2010年12月:ニュージーランド「プレンティ湾」
  • 2024年7月:ニュージーランド・オタゴ地方南部

これらの接点について、少し細かく紹介します。

1872年:ニュージーランド「ピット島」

この年、この地で下顎が見つかりました。その写真が次のモノです。

バハモンドオウギハクジラの下顎の画像

当時はヒモハクジラとして分類されています。

バハモンドオウギハクジラは、英名で「Spade Toothed Whale」または「Spade-Toothed Beaked Whale」といいますが、この下顎に由来するそうです。

1950年:ニュージーランド「ホワイト島」

ここでは、バハモンドオウギハクジラの別の個体が発見されました。

当時はイチョウハクジラとして分類されたそうです。

1986年:チリ「ロビンソン・クルーソー島」

この島で破損した頭蓋冠が見つかりました。

この時に、初めて、新種の「バハモンドオウギハクジラ」として分類されました。

最近の遺伝子解析により、上述のクジラは全て同一の種であり、「Mesoplodon traversii」として分類すべきであることがわかっているとのことです。

2010年12月:ニュージーランド「プレンティ湾」

この湾にあるオパペ・ビーチ(Opape Beach)で、2体のクジラが座礁し、その後まもなく死亡しました。

2012年11月遺伝子解析の結果、これら(体長5.3mのメスと、体長3.5mの子どものオス)のクジラが、バハモンドオウギハクジラであることが判明しています。

バハモンドオウギハクジラには次のような特徴がありました。

メロン(※)はより目立ち、ツチクジラ (M. layardii) に似ており、吻の色は大人のアカボウクジラのような白ではなく、濃い灰色または黒です。
また、黒い眼帯、白い腹、暗い足ひれも注目に値します。
※メロンは多くのハクジラ亜目のクジラ(イルカを含む)の頭部のほぼ中央にある脂肪組織

2024年7月に見つかったバハモンドオウギハクジラの死骸からは、いくつかの情報が得られたようなので、章を変えて紹介します。

参考記事:バハモンドオウギハクジラ|ウィキペディアThe world’s rarest whale

※ところで、クジラって動物の分類では何に入るかご存知ですか?やっぱり海にいるので魚類ですかね……。
次の記事で確かめてください。
クジラ 何類?


バハモンドオウギハクジラの解剖

2024年7月にニュージーランド・オタゴ地方南部のタイエリ河口付近でクジラの死骸が発見されました。

Jim Fyfe and Tūmai Cassidy walk alongside a rare spade-toothed whale, being moved by Trevor King.
New Zealand Department of Conservation, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

7月4日、自然保護局(DOC)のスタッフが、その死んだクジラの報告を調査するために現れました。
到着したとき、彼らは、体長5メートル(16フィート)の雄がバハモンドオウギハクジラであることを知って衝撃を受けたそうです。

クジラの完全な標本が検査のために回収されたのは初めてで、バハモンドオウギハクジラについて学ぶための貴重かつ極めて重要な機会となりました。

解剖の結果、次の内容が明らかになりました。

痕跡の歯

バハモンドオウギハクジラの上顎に小さな歯の痕跡があることが初めて明らかになりました。

この痕跡は進化の名残と考えられており、かつてはより大きな目的を果たしていたこと、そして、現在は減少しているものの、その目的を完全に失うほどの進化の圧力がかかっていないことが考えられます。

クジラの縮小した後肢は、約5,000万年前に陸地で生活していた時代の名残である痕跡構造の例としてよくもてはやされます。

現在、脚は小さな股関節の残骸にまで縮小しています。

9つの胃

バハモンドオウギハクジラのもう1つの興味深い特徴は、その多くの胃室(正確には9つ)であり、彼らがどのように食事をし、コミュニケーションをとるかに関するいくつかの手がかりもありました。

胃の内容物からは、「イカのくちばし」や「イカの目のレンズ」、「数個の寄生虫」、「よくわからない生物の一部分」が見つかったそうです。

そう遠くない未来に、「寄生虫」や「よくわからない生物の一部分」が解明されることでしょう。

他の発見

摂食と音の発生に関連する興味深い器官も発見されたようです。

さらに、この種を説明し、近縁種と比較するのに役立つように、さまざまな筋肉や器官の重量、測定等が行われました。

参考:First Dissection Of The World’s Rarest Whale Reveals They Have 9 Stomach Chambers

どこに生息しているのか?

バハモンドオウギハクジラは、どこに生息しているのか、手掛かりは全くと言っていいほどありません。

ここから考えると、勝手な想像ですが、生息地は次のような場所が考えられます。

深海域(深度1,000m以上)

目撃情報がほとんどないところから、バハモンドオウギハクジラは 水深1,000m以上の深海に生息すると考えられます。

つまり、沿岸ではなく 沖合の海溝や海山周辺 で活動している可能性が高いです。

人の影響が少ない遠洋

このクジラは、沿岸近くではほとんど目撃されず、 漁業活動や船舶の往来が少ない遠洋域 で暮らしている可能性が高いです。

そのため、目撃例が少なく、研究が進みにくいという課題もあります。

良く知られていない動物としては「カカポ」なんてのがいますね。以下の記事で詳細をご覧ください。

最後に

バハモンドオウギハクジラは、生態を含め謎の多いクジラ です。

その特徴や生息地、行動パターンについては、まだ詳しく解明されていません。

この記事では、人間と接点のあった内容を掘り出さし、そこからわかった内容を紹介しました。

特に、2024年に座礁したクジラの個体を解剖で来たことは大きく、いくつかの謎が解明されたようです。

※「動物の雑学」様々動物の知識をまとめています。

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この記事を書いた人

60爺

60路を越え、RaspberryPi と出会い、その関係でブログ開設(2017/2~)となりました。始めてみると、コツコツやるのが性に合ってしまい、漢字の記事から家の補修・将棋・windows10関係・別名・言い方などジャンルを拡大して今に至ってます。まだまだ、元気なので新たな話題を見つけて皆様に提供できればと思っています。「プロフィールはこちら

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