「ピンからキリまで」ってどっちが上?その意味や語源を追いかける
日常会話の中でふと耳にする「ピンからキリまで」という表現をご存知かと思います。
なんとなく意味はわかるけれど、いざ「ピン」と「キリ」は「どっちが上?」と問われると、答えに迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
この言い回し、高いものから安いもの、良いものから悪いものまで…と幅広さを表すこの言葉だと思うんですが、一体どこで生まれて現代まで伝わってきたのか興味がわきませんか?
今回の記事では、そんな「ピンからキリまで」にスポットを当て、その具体的な意味やその語源をたどっていきます。
なかなか面白い謎ときになりそうです。
どうか最後まで、ご一緒にご覧くださるよう、お願い申し上げます。
「ピンからキリまで」とは?
「ピンからキリまで」の意味を調べてみると以下のようにあります。
①始めから終わりまで。
広辞苑
②最上等のものから最下等のものまで。
冒頭で述べた「高いものから安いもの、良いものから悪いものまで」は、それほど的外れではなかったようです。
「ピンからキリまで」ってどっちが上?

さて、この「ピンからキリまで」の「ピン」と「キリ」はどちらが上なのでしょうか?
「ピン」が上
「キリ」が下
上記の意味に合った通り、「始めから終わりまで」「最上等のものから最下等のものまで」とあるように、「ピン」が「始め」と「最上等」、「キリ」が「終わり」と「最下等」に振られるんですね。
ただ、当初は「ピン」が最小や価値の低い意味(数字の最小の1点だから)で用いられていたそうです。
それが、江戸時代に「ピンからキリまで」という言葉がメジャーになると、その意味が逆転したようです。
順位を決める場合は、数が小さい方が上になるので、その考え方に準じたのでしょうか。
「ピンからキリまで」の語源とは?
次に、この「ピンからキリまで」の語源を見ていきましょう。
「ピンからキリ」の語源はポルトガル語のようです。
「ピン」はポルトガル語の「pinta(ピンタ)」の略で「点」を意味するようです。
ここから、カルタやサイコロの目で「1」を表わすようになりました。
ここまではいいのですが、「キリ」については諸説あるようで定まっていないそうです!
いくつかある説を並べてみます。
- 「cruz(クルス)」(十字架)のなまり
- 天正カルタの最後のカードを「キリ」と読んだことから
- 「切りをつける」「切りがない」の「切り」から
説が3つ出てきました。
1,2番目は、2の説にも出ている「天正カルタ」が基になっています。
トップは、「十字架から十」の意に用いて「ピンからキリまで」を「一から十まで」の意味にしたというモノです。
ただ、天正カルタは4組12枚のカードから成るものでしたので、ちょっとピンときませんね。
2番目の説は、天正カルタの組の最後のカード(王の絵柄)を「キリ」と呼んだことから来たものです。
1(豆牟・ツン/虫・ムシ/ピン)から9までの数札と女王(ソウタ/十・ジュウ)、騎馬(カバ/馬・ウマ/牟末・ンマ)、国王(レイ/切,岐利,桐・キリ/腰・コシ)の絵札で構成される計48枚
天正かるた|ウィキペディア
天正カルタは、1~9までの数札と3枚の絵札で構成(ちょっとトランプに似ています)され、1をピン、国王をキリと呼んだところから、これを「ピンからキリまで」に当てはめたものなのです。
その他にも、花札の12月が桐の花なので、12枚目のカードなので、桐=キリになったとの謂れもあります。
何となく納得させてくれる説ですね。

Outlookxp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
<櫻川札>
最後の「切りをつける」「切りがない」の「切り」からの説ですが、「続いたことの終わり。最後」という意味です。
カルタの12枚ある最後の札を「キリ」と呼んだでしょう。
歌舞伎にも次のようなセリフがあります。
同じ盗人稼業でも、ぴんから切りまで高下があるのよ
歌舞伎・吾嬬下五十三駅・四
なるほど、漢字の「切り」になっていますね。
もう一つあります。
「キリ」ですが、これは「これでおしまい」という意味なのです。たとえば、お母さんに「おこずかいはもうこれきりよ」なんていわれたことない?あの「これきり」の「キリ」も同じ意味です。
放送タレント 永六輔先生
ことわざで「ピンからキリ」というのがあるんだけど|TBS
小学4年生の質問に、永六輔先生が、「これきり」の「きり」と答えています。
うーん、3つの説を見てきましたが、1番目が眉唾かな……。
2番目、3番目の説は、それなりに説得力がありそうです!
ピンのつく言葉
ここでは、「ピンキリ」で出た「ピン」を使った言葉をあれこれ見ていきましょう。
ピンはね(ピン撥ね)
ピンをはねる(撥ねる)とも言います。
他人に渡す金の一部を黙って自分のモノにすることです。
上述したpintaの「一」が一部にの意味になり、「はね」は切り離すという意になります。
どちらにしても、褒められた行為ではありません。
ピン芸人
この言葉は広辞苑に載っていません。
コンビやトリオを組まず単身で活動するお笑い芸人のことを指します。
具体名を出すと、次のような芸人さんですかね(敬称略)。
- 明石家さんま
- くっきー!
- ケンドーコバヤシ
- 小籔千豊
- ザコシ師匠
- バカリズム
- ビートたけし
- 宮川大輔
現在では、R-1グランプリなど、有名なピン芸人のコンテストがあります。
ちなみに、芸人は、1人がピン、2人がコンビ、3人がトリオと呼びます。
泉ピン子

文部科学省ホームページ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
泉ピン子の「ピン」も、「ピンからキリまで」に関係しています。
芸能人であることをずっと反対した父親が「芸人にはピンからキリまであるのだから、志しの一番なピンの芸人になれ」と、泉に話したことから。
泉ピン子|ウィキペディア
ピン子って名前、変わってるなあと思った人(60爺もその一人です)、その理由が分かりましたか。
ただ、その他にも、「顔が丸くて麻雀牌のイーピンみたいだから」なんて説もあるようなので、注意が必要かも^^;
芸名の由来には色々あるんですね。
その他の「どっちが上」
今回、「ピンからキリまで」のどっちが上かを見てきました。
記事を終わる前に「どっちが上」をキーワードに、どんなものがあるかを調べてみました。
それを一覧にしたので、ご確認ください。
- 浴衣 どっち が 上
- 着物 どっちが上
- 信用と信頼どっちが上
- 公認会計士 税理士 どっちが上
- 警視庁と警察庁 どっちが上
- 次長課長どっちが上
- 上院 下院 どっち が上
- 敷きパッドとシーツ どっちが上
- FBI 警察 どっちが上
- ゴールド プラチナ どっち が 上
- ホワイトゴールド プラチナ どっちが上
- 大社と神宮 どっちが上
- 専務 常務 どっちが上
- 主幹 課長 どっち が上
- 毛布 布団 どっちが上
- 保安官 警察 どっちが上
浴衣や着物は、襟がどっちが上になるのか、若い方はわからないですよね。
敷きパッドとシーツ、毛布と布団何かは、好みかななんて思います。
その他、次長課長、主幹課長、専務常務なんかは、次長、課長、専務だと思うのですが会社によって変わるんですかねえ。
それ以外の言葉でも、どちらが上なのか悩む方が大勢いらっしゃるのですね。
これらについては、将来、どこかで記事に出来ればいいなと思います。
※「雑談の部屋」の最新記事のため次の記事はないので、トップの記事を挙げておきます。
※「雑談の部屋」の一つ前の記事です。
最後に
「ピンからキリまで」のどっちが上かを見てきました。
昔は、キリが上だった時代があったようですが、現在では、順位付けと同様、ピンが上なんですね。
その由来を探ってみたら、ピンはあっさりと決定打が出ましたが、キリについては複数の説が合ってはっきりしないようですね。
60爺としては、カルタの最後がキリと読むからの説に傾いていますが、皆様も記事をお読みになってご判断くださればいいかと思います。
参考
新明解語源辞典
※「雑談の部屋」の記事はすごい大所帯です!
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