将棋叡王戦の方式の紹介と賞金及びスポンサーの変更
2016年にドワンゴ主催で一般棋戦として第1期が開始され、2018年の第3期からタイトル戦に昇格した一番新しいタイトル戦です。
タイトルの序列は、第8期より第四位です(第5期までは、名人、竜王に続く第三位でした。2020年のスポンサーと契約金の変更に伴い第六位となりました)。
番勝負の勝者は叡王のタイトル称号を得ます。
この棋戦、第1期と第2期は、全棋士参加ではなく棋士の希望者によるエントリー制を採用していました。
参加者は第6期から全棋士に改められました(第3期から全棋士・女流棋士1名・アマチュア1名でしたが、女流棋士、アマの出場はなくなりました)。
第3期では、予選を勝ち抜き、本戦で決勝に進んだ棋士が七番勝負を行って、タイトルホルダーを決めました。第四期以降は、本選優勝者が挑戦者となって、タイトル保持者と番勝負を行います。
なお、2020年10月20日、ドワンゴが叡王戦の主催契約を解除することが発表されました。そして、10月29日、第6期から不二家と日本将棋連盟の共同主催となることが発表されました。
同時に、商標は日本将棋連盟に譲渡し、タイトル戦は五番勝負(第三期から第五期は七番勝負)となっています。
第6、7期叡王は藤井聡太です。
賞金額
残念ながら公開されておりません。そこで・・・。
ようやく、自分なりの将棋八大タイトルの賞金額一覧を作成しました。
やっぱり、タイトル戦ですし、賞金額は1,000万円越えですよね。
賞金額は1,500万円です!
根拠は次の記事から類推しました。
この数字と、タイトルの序列(賞金でランク付けされていると言われています)から、王位が2,000万円、王座が1,400万円、王将が1,200万円と当たりをつけました。そうなると、必然的に棋王は1,300万円になりますね。
引用 将棋八大タイトルの賞金額はいくら?各サイトをめぐってとりまとめた
王将より序列が下の棋聖を1,100万円とすれば、先程の文春の記事であった「王位+叡王+棋聖=4,600万円」から叡王が1,500万円となります。
詳細は、次の記事を参照してください。
タイトル獲得までの道のり
それでは、叡王戦のタイトル獲得までの道のりを説明していきます。
どのタイトル戦もそうですが、予選と本戦があります。
叡王戦では、予選として段位別予選、本戦として本戦トーナメントがあります。
他の棋戦では、予選においては、段位に関係なく対局が組まれますが、叡王戦は段位別予選として、本戦トーナメントまでは、同じ段位の棋士としか対局しないのです。
そして、図を見ればわかりますが、段位が高い方が予選通過枠が多いです。
段位別予選
参加棋士は上記でも述べましたが、詳細はこちらの棋戦概要をご覧ください。
叡王戦の予選は、名称にある通り、段位別予選というシステムを採用しています。予選の間は、同じ段位のものとしか当たりません。そして、本戦に出場できる棋士は、段位毎に決められています。
予選通過人数
第6期は、九段、八段各三名、七段、六段各二名、五段、四段各一名の12名に変更となりました。
第4、5期は、九段が4名、八段、七段、六段が各3名、五段は2名、四段1名の16名となりました。
ちなみに、第3期は、九段5名、八段3名、七段、六段、五段は各2名、四段1名の15名でしたから、少し、上位偏重が是正された形です。
ここらあたりは、毎年、調整されると思われます。
予選参加棋士数
第6期予選参加者棋士を見てみます。
九段28名、八段28名、七段44名、六段24名、五段21名、四段19名ですので、本戦に勝ち抜ける確率は、九段10.3%、八段10.3%、七段4.5%、六段8.3%、五段4.8%、四段5.3%となります。
第5期予選と比べてみましょう。
九段25名、八段25名、七段36名、六段31名、五段20名、四段17名ですので、本戦に勝ち抜ける確率は、九段16.0%、八段12.0%、七段8.3%、六段9.7%、五段10.0%、四段5.3%となります。
四段の通過率が変わらないだけで、他の段位は全て下がっていますね。
本戦トーナメント
第6期から、予選通過者の12名とシード者4名の16名でのトーナメント方式となっています。
第4~5期は24名による争いでした(第3期は16名)。第四期は、第三期のベスト4及びタイトル保持者の上位がシードされています。
本戦も、予選と同様純粋なトーナメントです。
第6期からは挑戦者決定三番勝負もなくなりました。このため、本戦トーナメントで4勝すれば挑戦権獲得となります。
シード者は、第6期から前期の叡王戦ベスト4の4名のみとなりました(それまでは、タイトル保持者(竜王・名人・複数冠保持者は序列4位内(叡王を除く)が含まれていました)。
五番勝負
第6期から、番勝負は五番勝負となりました(第4期以降は、本戦トーナメントを勝ち抜いた挑戦者と叡王保持者が7番勝負でした)。
五番勝負は、持ち時間4時間で争われます(七番勝負では、持ち時間変動制の番勝負でした)。
予選、本線ともチェスクロックを使用するので、下位クラスの棋士の方が慣れている分有利であるとの記事を読んだ記憶があります。
タイトル獲得者
タイトル戦となってからのタイトル保持者は下記の通りです。
期 | 年 | タイトル保持者 | 備考 |
---|---|---|---|
3 | 2018年 | 高見泰地 | 初期叡王決定戦 |
4 | 2019年 | 永瀬拓矢 | 奪取 |
5 | 2020年 | 豊島将之 | 奪取 |
6 | 2021年 | 藤井聡太 | 奪取 |
7 | 2022年 | 藤井聡太 | 防衛 |
8 | 2023年 | 藤井聡太 | 防衛 |
9 | 2024年 | 伊藤匠 | 奪取 |
第3期から第6期までは毎年挑戦者が奪取していたんですが、第7期で初めて藤井聡太叡王が防衛に成功しました。
翌年の第8期も防衛し、2023年10月11日には八冠を達成、タイトル22期連続獲得と無双状態でした。
しかし、第9期叡王戦で伊藤匠七段を挑戦者に迎え、1勝2敗と自身初のカド番になり、第4局は完勝して最終局に臨むも、最終局に敗れ、タイトル戦で初の敗戦を喫しました。
八冠保持の日数は254日で途切れました!
永世叡王
この棋戦、永世位の制定がない唯一の棋戦でしたが、2023年の5月に「永世叡王」の規定が制定されました。
通算五期で「永世叡王」の称号が与えられます。襲名は、他の棋戦と同様、原則、引退後です。
第9期、第10期と藤井叡王がタイトル防衛すると、永世叡王第一号が産まれます。
ところが、上述したように、第9期叡王戦で防衛に失敗したため、藤井竜王・名人の永世叡王の獲得は、2026年以降に伸びてしまいました。
最後に
新規にタイトル戦となった叡王戦ですが、毎年、タイトルホルダーが変わる猫の目状態だったのですが、藤井聡太五冠(2023/1/15現在)が連覇して、やっと落ち着いた感じですかね。
スポンサーも、ドワンゴから不二家に変わり、序列も3位から6位へ変わるなど変遷が見られました。
序列に関する記事は2つあります。
序列の決め方についても解説しています。
永世七冠である羽生善治九段が、なかなか本戦に出てくれないので、ちょっともやもやしています。
是非、予選を勝ち抜いて8つ目のタイトルである叡王に就いてほしいなと。
王将戦での闘いが気になりますが、頑張ってほしいです!
■思えば、将棋の記事も増えてきましたね!
参考サイト
wiki 叡王戦
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