将棋の八大タイトル序列一位竜王戦の仕組みと賞金額について!
将棋のタイトルで序列第一位(将棋の八大タイトル その名称と序列、番勝負について解説する)の竜王戦について、挑戦者決定までの過程と公開されている賞金について見に行きたいと思います。
主催は読売新聞社です。八大タイトル戦(竜王戦・名人戦・王位戦・王座戦・叡王戦・棋王戦・王将戦・棋聖戦)のひとつで、タイトル戦の序列は名人戦に並び第一位になります。
後で述べますが、賞金額が莫大です。
本棋戦の第1期は1987年ですが、その前身は十段戦という名称でした。さらに、その前身は九段戦であり、九段戦の第1期が1950年でした。
これにより、タイトル戦の中では名人戦(第1期は1935 – 1937年)に次いで2番目に長い歴史を持っています。
七番勝負の勝者は竜王のタイトル称号を得ます。
竜王戦とは
竜王戦命名までのTips
wikiを見ると、この棋戦の名称の候補として、「棋神戦」「最高峰戦」「巨人戦」「巨星戦」「棋宝戦」「達人戦」「竜王戦」「将棋所」などがあったという記載があります。
ここに出ているタイトル名の候補のうち、言っちゃなんですが、命名センスがなさそうな人がつけたような名称が多々あるような気がするのは60爺だけでしょうか。
名称にちなんだギャグで思い出すのは、ワンピースで、サウザントサニー号を命名する際に出てきた「むぎわらの一味」が唱えた数々の変な名称を思いだしちゃいました。
参加棋士
日本将棋連盟竜王戦の棋戦概要を見ると、参加棋士は全棋士と女流棋士四名、奨励会員一名、アマチュア五名で行われます。
名人戦を除いた他タイトルと同様に、参加棋士全員に竜王になれるチャンスがあります。
竜王戦の仕組み
それでは、竜王戦の挑戦者になるまでの道筋を説明していきます。
始めに、1組から6組に分けてトーナメント戦(ランキング戦)を行います。これが予選に当たります。
そして、各組の上位者11名で本戦(決勝トーナメント)を行い、この勝者が竜王戦挑戦者となります。
ランキング戦
1組から6組まで振り分けられた棋士たちが、トーナメントで本戦を目指し闘います。
本戦に進出できるのは、1組5名、2組2名、3組から6組は優勝者一名と、1組が圧倒的に優位なシステムになっています。
1組
16名のトーナメントです。決勝までいけば、本戦進出(優勝者が1組1位、準優勝者が1組2位)が決定します。準決勝で敗れた棋士は、3位決定戦を戦い、勝たなければ、本戦に進出できません(1組3位)。
準々決勝で敗れた4名もトーナメントを行い、2勝すれば本戦進出(1組4位)です。
1回戦で敗れても、敗れた8名でトーナメントを行い、勝ち残れば本戦進出(1組5位)となります。但し、このトーナメントは、敗れると2組降級となる大一番です。
これを見て分かる通り、1組は3回勝ったものが本戦に進出できるため、他組に比べ、非常に有利な組なのです。賞金も高いし、棋士も必死でしょう。
反面、少なくとも1回勝たないと1組に残れないという厳しさもあります。
2組
こちらも、16名のトーナメントです。決勝までいけば、本戦進出(優勝者が2組1位、準優勝者が2組2位)が決定します。また、この両者は、合わせて1組昇級となります。
準決勝までに敗れた棋士は、パラマス戦に似た変則トーナメントで行われる昇級者決定戦(2ブロック)に回ります。この昇級者決定戦で勝ち残れば1組昇級となります。
初戦敗退者同士の戦いである昇級者決定戦1回戦に敗れると、3組降級となってしまいます。
3組
この組も、16名のトーナメントです。優勝者が本戦進出(合わせて2組昇級)となります。準優勝者は2組昇級です。
準決勝までに敗れた棋士は、パラマス戦に似た変則トーナメントで行われる昇級者決定戦(2ブロック)に回ります。この昇級者決定戦に勝ち残れば、2組昇級となります。
2組と同様、初戦敗退者同士の戦いである昇級者決定戦1回戦に敗れると、4組降級となってしまいます。
4組
32名のトーナメントです。優勝者が本戦進出(合わせて3組昇級)となります。準優勝者は3組昇級です。
準決勝までに敗れた棋士は、パラマス戦に似た変則トーナメントで行われる昇級者決定戦(2ブロック)に回ります。この昇級者決定戦で勝ち残れば、3組昇級となります。
4組では、初戦敗退者同士の戦いである昇級者決定戦1回戦で敗れた棋士は残留者決定戦に回り、そこで敗れると5組降級となります。
5組
こちらも32名のトーナメントです。4組と同様優勝者が本戦進出(合わせて4組昇級)となります。準優勝者は4組昇級です。
準決勝までに敗れた棋士は、パラマス戦に似た変則トーナメントで行われる昇級者決定戦(2ブロック)に回ります。この昇級者決定戦で勝ち残れば、4組昇級となります。
4組と同様に、初戦敗退者同士の戦いである昇級者決定戦1回戦で敗れた棋士は残留者決定戦に回り、そこで敗れると6組降級となります。
6組
竜王と1組から5組に所属する棋士以外の棋士と、上記で述べました女流棋士四名、奨励会員一名、アマチュア五名で争うトーナメントです。
優勝者が本戦進出(合わせて5組昇級)となります。準優勝者は5組昇級です。
準決勝までに敗れた棋士は、パラマス戦に似た変則トーナメントで行われる昇級者決定戦(2ブロック)に回ります。この昇級者決定戦に勝ち残れば、5組昇級となります。
6組は最下位の組なので降級はありません。
本戦
これも変則トーナメントです。図を見ていただいた方が一目瞭然です。
1組優勝者は、1回勝てば何と挑戦者決定三番勝負に進出ですが、5、6組優勝者は5連勝しないと、そこにたどりつきません。
1組2、3、4位、2組1位は、2回の勝利で挑戦者決定三番勝負に進出できるという、ランキング戦同様、上位の組に非常に手厚いシステムとなっています。
挑戦者決定戦(本戦決勝)のみ三番勝負で行い、先に2勝したものが挑戦者となります。
持ち時間は各5時間です。なお、挑戦者となった者は3組以下であっても、1組に昇級します。
七番勝負
竜王保持者と挑戦者が例年10月から12月にかけて七番勝負を行い、先に四番勝った棋士が竜王になります。
七番勝負は全国各地の旅館やホテルなどで開催されます。
竜王戦は2日制で実施されます。名人戦、王位戦、王将戦と同じ、封じ手を介して闘います。
持ち時間は8時間です。
竜王戦の賞金
竜王戦は、タイトル戦では唯一賞金額が公開されています。
優勝賞金
竜王戦は、タイトル戦の中で最も高い賞金を誇るようになり、第30期の優勝賞金は4,320万円、準優勝賞金は1,620万円です。消費税込の金額みたい(優勝賞金は4,000万円、準優勝賞金は1,500万円)ですね。
ランキング戦の賞金
ランキング戦でも、優勝、準優勝には賞金が出ます。
この賞金額は30期からのものですが、当たり前の話ですが上位の組に厚いですね。1組の優勝賞金額は6組の5倍弱です。やはり、勝負事は勝たないとダメなんですね。
他のタイトル戦の賞金額が気になる方は、こちらの記事をご覧ください。
本戦の対局料
さらに、さらに、本戦での対局料が公開されています。
昨期のものですが、さきほどの本戦トーナメントに朱書きで数字を入れています。あの数字の単位は1万円ですので、勝ち進むと、それだけたくさん手に入るわけですね。
ここ10年のタイトル保持者
ここ10年のタイトル保持者を見てください。
期 | 年 | タイトル保持者 | 防衛/奪取 |
---|---|---|---|
27 | 2014 | 糸谷哲郎 | 奪取 |
28 | 2015 | 渡辺明 | 奪取 |
29 | 2016 | 渡辺明 | 防衛 |
30 | 2017 | 羽生善治 | 奪取 |
31 | 2018 | 広瀬章人 | 奪取 |
32 | 2019 | 豊島将之 | 奪取 |
33 | 2020 | 豊島将之 | 防衛 |
34 | 2021 | 藤井聡太 | 奪取 |
35 | 2022 | 藤井聡太 | 防衛 |
36 | 2023 | 藤井聡太 | 防衛 |
隔世の感がありますね。第30期2017年の竜王戦では、羽生善治九段が奪取し、永世七冠を達成しています。
その後、広瀬章人九段、豊島将之九段が奪取、豊島九段は羽生善治九段のタイトル100期を目指した挑戦を跳ね返しましたが、藤井八冠にタイトルを奪われてしまいました。
現在、藤井八冠が3連覇し、どこまで連覇記録を続けるかに焦点が当たっています。
永世竜王
永世位である永世竜王(永世位については下記記事参照)の獲得条件は次の通りです。
- 連続五期
- 通算七期
この条件を満たした棋士は、渡辺明(2008年:連続五期で獲得)と羽生善治(2017年:通算七期で獲得、永世七冠となる)の2名だけです。
最後に
将棋の八大タイトルのうち、名人戦と並んで序列一位である竜王戦の仕組みと賞金額について語りました。
竜王戦ドリームと言って、たとえ4段でもランキング戦を勝ち上がり、さらに本戦で挑戦権を握り、番勝負で勝利すれば、ここで紹介した多額の賞金を一躍手に入れられるのです。
羽生善治九段や渡辺明九段が、かつて竜王戦で名を上げたんですね。
現在は、絶対王者の藤井八冠が名人と合わせタイトルを独占しています。牙城を崩す棋士はいつ現れるでしょうか?
■思えば、将棋の記事も増えてきましたね!
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