将棋王座戦の賞金額と方式、永世位と面白いエピソードについて
王座戦とは、将棋の八大タイトルのひとつで、序列は、竜王戦、名人戦、王位戦、叡王戦に次ぐ第五位です(20201年度は第四位でした)。
主催は、日本経済新聞社ですね。
過去の流れを見てみますと、1953年に一般棋戦として創設され、1983年(31期)にタイトル戦に格上げされました。
参加棋士と賞金
参加棋士
日本将棋連盟の王座戦棋戦概要を見ると、参加棋士は全棋士と女流棋士四名で行われます。
賞金
王座戦の賞金ですが、残念ながら公開されていません。ですが・・・。
ようやく、自分なりの将棋八大タイトルの賞金額一覧を作成しました。
やっぱり、タイトル戦ですし、序列が5位とは言え1,000万円以下はないと考えました。
賞金額は1,400万円です!
この数字と、タイトルの序列(賞金でランク付けされていると言われています)から、王位が2,000万円、王座が1,400万円、王将が1,200万円と当たりをつけました。そうなると、必然的に棋王は1,300万円になりますね。
引用 将棋八大タイトルの賞金額はいくら?各サイトをめぐってとりまとめた
詳細は、次の記事を参照してください。
王座戦の方式
それでは、王座戦の挑戦者になるまでの道筋を説明していきます。
どのタイトル戦もそうですが、予選と本戦があります。そして、この予選及び本戦に各棋戦の特色があるのです。
王座戦は、一次予選、二次予選のトーナメント戦を行い、二次予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士の16名によって挑戦者決定トーナメントを行い、挑戦者を決めます。
次の図を参考にしてください。
王座戦の番勝負(五番勝負)は、毎年9月から10月にかけて王座と挑戦者が勝負し、勝者が王座のタイトル称号を得ることになります。
持ち時間は、五番勝負を含む全ての対局で各5時間(1日制)です。
一次予選
シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士(永世称号者は除きます)と、女流棋士4名によりトーナメント形式で行われます。
二次予選に進出するのは6名です。
なお、シード者以外の順位戦C級1組以下の棋士であっても、次の成績を納めたものは、一次予選が免除されます。
- 前期本戦トーナメント進出
- 前期二次予選戦績優秀者 どんな条件なんだろう?
- 過去番勝負進出者
- 非タイトル棋戦優勝者
二次予選
一次予選の勝ち抜き者6名と、シード者以外のB級2組以上の棋士によりトーナメント形式で行われます。
シード者の人数によりますが、挑戦者決定トーナメントへの出場枠は毎年10枠前後(最多で12枠)です。
前期のベスト4進出者とタイトルホルダーは、挑戦者決定トーナメントからの登場です。
挑戦者決定トーナメント
二次予選の勝ち抜き者とシード者の計16名によるトーナメントです。
シード者は前年の挑戦者決定トーナメントでベスト4以上とタイトル保持者です。
トーナメントの勝者が王座と五番勝負を戦います。
五番勝負
王座保持者と挑戦者が、例年9月から10月にかけて五番勝負を行い、先に三番勝った棋士が王座になります。
五番勝負は全国各地の旅館やホテルなどで開催されます。
王座戦の番勝負は1日で決着がつきます。上述しましたが、持ち時間は5時間です。
ここ10年のタイトル保持者
ここ10年のタイトル保持者は誰だったのでしょうか。
期 | 年 | タイトル保持者 | 防衛/奪取 |
---|---|---|---|
62 | 2014 | 羽生善治 | 防衛 |
63 | 2015 | 羽生善治 | 防衛 |
64 | 2016 | 羽生善治 | 防衛 |
65 | 2017 | 中村太地 | 奪取 |
66 | 2018 | 斎藤慎太郎 | 奪取 |
67 | 2019 | 永瀬拓矢 | 奪取 |
68 | 2020 | 永瀬拓矢 | 防衛 |
69 | 2021 | 永瀬拓矢 | 防衛 |
70 | 2022 | 永瀬拓矢 | 防衛 |
71 | 2023 | 藤井聡太 | 奪取 |
10年前は羽生善治九段が覇を唱えていました。
その牙城を中村太一八段が崩した後、斎藤慎太郎八段、永瀬拓矢九段がタイトルを奪取し、永瀬九段は永世位に王手をかけましたが、最強棋士藤井聡太八冠の前に敗れ、タイトル独占を許してしまいました。
名誉王座
次の記事でも述べておりますが、王座戦の永世称号である名誉王座は、王座を連続5期もしくは通算10期以上保持した棋士に与えられます。
将棋界で永世称号のある7大タイトル戦のうち、「永世」ではなく「名誉」を冠するのは王座戦だけです。
※その他の棋戦では、NHK杯(テレビ将棋トーナメント)も、同じ要領で「名誉NHK杯」ですね。
現在の名誉王座を獲得しているのは、中原誠と羽生善治九段の二名のみです。
中原は、主催の日本経済新聞社が1996年9月に同称号を制定した際、タイトル戦昇格前の優勝回数10回と昇格後の獲得6期を合わせて16期(16回)の実績があったことから資格をあたえられました。
同年、羽生竜王(当時)も連続5期達成により資格を得ました。
名誉王座は、他の永世称号と違い、現役のままでも満60歳に達すると名乗ることができます。
この規定により、中原は60歳の誕生日である2007年9月2日から名誉王座を名乗りました。
王座に関しての面白エピソード
前王座20年
1992年第40期王座戦で羽生が福崎文吾九段から王座位を奪取して以降、2010年第58期の連続19期タイトルを保持し続けていました。このため、福崎は長年「名目上の前王座」だった訳です。
「名目上の前王座」が19期連続という珍記録であったため、福崎自身も「名誉前王座」などと称していることが、将棋ペンクラブログ・2011年4月14日の最後に載っています。
連続出場記録26期
今度は記録の話です。
羽生は2011年に20連覇(対渡辺明)を逸しましたが、翌2012年に挑戦者として奪還に成功しました。
そして、再度5連覇したものの、2017年第65期に再び失冠(対中村太地)して、翌2018年第66期に本戦1回戦で敗れるまで、同一タイトル戦連続出場記録26期(1992年-2017年)を数えました。
それまでの最長記録は大山康晴が名人戦と王将戦で持つ21期でした。また、羽生の王座通算24期在位は、一つのタイトル獲得期数としては史上最多となっています。
詳細は、次の記事をご覧ください。
最後に
将棋のタイトル戦である王座戦の賞金額と方式、永世位から面白いエピソードまで幅広く紹介しました。
王座戦はタイトルの序列5位で、賞金額は、60爺調べ1,400万円です。
このタイトルは2023年藤井七冠が奪取し、タイトル八冠独占で大いなる話題になりましたね。
藤井八冠は、本タイトルをどこまで防衛していくのでしょうか?
■思えば、将棋の記事も増えてきましたね!
参考サイト
wiki王座戦 (将棋)
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