将棋ALSOK杯王将戦の方式と賞金及び永世位とエピソードの紹介
将棋のタイトル戦(将棋の八大タイトル その名称と序列、番勝負について解説する)のひとつで、ランクは、竜王戦、名人戦、王位戦、叡王戦、王座戦、棋王戦に次ぐ第七位(2022年度)です。
1950年に一般棋戦として創設され、翌1951年(1期)にタイトル戦に格上げされました。七番勝負の勝者は王将のタイトル称号を得ます。
スポーツニッポン新聞社及び毎日新聞社主催の棋戦です。
なお、2021年度の第71期は、綜合警備保障が特別協賛に加わり、正式名称をALSOK杯王将戦として開催されています(2019年度の第69期は、外食チェーン「大阪王将」を運営しているイートアンドが特別協賛に加わり、正式名称を大阪王将杯王将戦として開催されました)。
棋戦概要を見ると、参加棋士は全棋士です。
持ち時間は、七番勝負8時間(2日制)、リーグ戦4時間、一次予選、二次予選がそれぞれ3時間です。
王将戦の方式
挑戦者決定までに一次予選、二次予選をトーナメントで行い、この勝ち上がり者3名とシード棋士4名の七名で総当りの挑戦者決定リーグを行います。
挑戦者決定リーグの優勝者は王将と、例年1月から3月にかけて七番勝負を戦い、先に4勝した棋士が新たな王将となります。
一次予選
シード者と二次予選から出場する棋士を除く、順位戦B級1組以下の棋士によりトーナメント形式で行われます。
予選通過枠は毎年異なりますが、予選枠ごとのトーナメント勝者が二次予選に進みます。
持ち時間は3時間です。
二次予選
こちらも、トーナメント形式で18人(期によって増減があります)から挑戦者決定リーグ進出者3人を選びます。参加者は次の棋士です。
① 前期挑戦者決定リーグ陥落者(3名、二次予選2回戦からの参加)
② タイトル保持者
③ 順位戦A級の棋士
④ 永世称号者
⑤ 一次予選通過者
持ち時間は、一次予選と同様3時間です。
挑戦者決定リーグ
二次予選通過者3名とシード者(前期挑戦者決定リーグ残留者と王将戦敗者)4名の計7名で、総当たりのリーグ戦を行います。
成績最上位者が挑戦者となります。
成績最上位者が複数出た場合は、原則シード順位で上位の2人によるプレーオフが行われます。但し、順位5位が2名と、それ以外の棋士の3名が成績最上位の場合、その3名でプレーオフが行われます。
成績上位者4名が、次年度の王将戦の挑戦者決定リーグのシード権を得ます。勝ち星が並んだ場合は、前期挑戦者決定リーグ残留者の順位が優先されます。
二次予選通過者同士で勝ち星が並んでリーグ残留の場合は翌年は同順位となります。4位で並んだ場合は残留者決定プレーオフが行われます。
持ち時間は4時間です。
七番勝負
王将保持者と挑戦者が、例年1月から3月にかけて七番勝負を行い、先に四番勝った棋士が王将位を獲得します。
七番勝負は全国各地の旅館や料亭などで催されます。2012年からは第1局を静岡県掛川市の掛川城(二の丸茶室)で行うことが恒例となっています。
王将戦の番勝負は二日制です。竜王戦、名人戦、王位戦と同じように、封じ手を持って翌日に指し継ぎます。
持ち時間は8時間です。
王将戦の賞金
残念ながら公開されておりません。
ようやく、自分なりの将棋八大タイトルの賞金額一覧を作成しました。
やっぱり、タイトル戦ですし、序列が7位とは言え1,000万円以下はないと考えました。
賞金額は1,200万円です!
根拠は、久保利明九段が2017年に王将を獲得した際の年収と前年の年収の差と、棋王戦、棋聖戦の賞金額を鑑みた結果です。
久保利明九段 2016年1,665万円⇒2017年王将獲得3,019万円 差額1,354万円
詳細は、次の記事を参照してください。
ここ10年のタイトル保持者
ここ10年のタイトル保持者を見ておきましょう。
期 | 年度 | タイトル保持者 | 防衛/奪取 |
---|---|---|---|
64 | 2014 | 郷田真隆 | 奪取 |
65 | 2015 | 郷田真隆 | 防衛 |
66 | 2016 | 久保利明 | 奪取 |
67 | 2017 | 久保利明 | 奪取 |
68 | 2018 | 渡辺明 | 防衛 |
69 | 2019 | 渡辺明 | 奪取 |
70 | 2020 | 渡辺明 | 奪取 |
71 | 2021 | 藤井聡太 | 奪取 |
72 | 2022 | 藤井聡太 | 防衛 |
73 | 2023 | 藤井聡太 | 防衛 |
10年前には郷田正隆九段がタイトルを奪取して保持していました。その後、久保利明九段と懐かしい棋士が並んでいます。
そして、渡辺明九段がタイトルを保持したんですが、又もやストレートで藤井聡太八冠に奪われてしまいました。
永世王将
永世称号である「永世王将」の資格は、王将位を通算10期以上保持した棋士に与えられます。
2021年1月現在、永世王将の棋士は故大山康晴。永世王将の資格を持つ棋士は羽生善治九段しかおりません。
永世王将への就位は他のタイトルの永世位と同様、原則として引退後です。
王将戦のエピソード
王将戦のエピソードで有名なのは、羽生九段(2021/1現在)の七冠制覇に関するものが有名です。
1994年度(第44期)の七番勝負では、羽生善治の七冠独占を谷川浩司がフルセットの末に阻止しました。当時、谷川は七番勝負の途中に阪神・淡路大震災で被災していたのにもかかわらずです。
これで、羽生の七冠は絶望と言われましたが、翌年、何と羽生は六冠を全て防衛し、王将戦リーグでも優勝して、再度、谷川の前に現れました。
そして、1995年度(第45期)は、羽生が4勝0敗ストレートで谷川から王将を奪取し、ついに七冠独占を達成したのです。
最後に
将棋のタイトル戦であるALSOK杯王将戦の方式と賞金及び永世位とエピソードを紹介しました。
本棋戦は、タイトル戦の序列7位で、その賞金額は1,200万円(60爺調べ)でした。
永世王将はタイトル獲得10期と、他棋戦に比べ非常に厳しい条件となっており、今までに羽生九段しか獲得していません。
藤井王将が獲得するのは、ずーっと保持していても2031年まで待たねばなりません。その時は、永世八冠誕生ということになるかもしれません。
■思えば、将棋の記事も増えてきましたね!
参考
wiki王将
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません